こんにちは!
Thinkです。
これまで、環境計量士(濃度関係)(以下環境計量士と略す)の国家試験合格の体験談として、問題の解き方について記事を書いてきました。
試験まで2か月を切りましたが、既に問題集を何回も勉強されているかた、なかなか時間が取れなくて勉強できていないかた、さまざまな方がいらっしゃると思います。
今回は、なかなか時間が取れなくて勉強できていない方のために、機器分析について、ざっくり説明します。
もちろんきっちりと原理から説明するのが一番ですが、すべて書くと辞典のような文字数になってしまうので「詳しい説明は省くが、こうゆう分析できる」のようなざっくりとした感じに説明します。
今回はクロマトグラフィーの概要について説明します。
①クロマトグラフィーとは?
クロマトグラフィーとは「混合物を分離する方法」の一つです。
歴史:ロシアの植物学者によって発明された
炭酸カルシウムを充填して、立てた管に上部から植物から抽出した色素を置いて、石油エーテルという液を流したところ、もともとの色素が一色だったのが、管の中で複数の色に分かれた。
つまり、クロマトグラフィーとは、混合物中の物質の性質や構造、大きさなどの違いを利用して分離する方法です。
クロマトグラフィー以外の分離方法だと、ろ過や抽出なとがあります。
ここでクロマトグラフィーでよく出てくる単語の説明をします。
名前が似ているので、混同しないように注意してください。
②なぜ化学分析では分離する必要があるのか?
例えば、Aという物質とBという物質が溶けている水があるとします。
この中でAの量を知りたい場合どのようにしましょうか?。
例えば先日の記事で解説した、分光光度計を使ってみましょう。
これはある波長の光を当てて、測定対象物質が光を吸収し、弱まった光を検出することで測定対象物質の量を求める方法でした。
しかし、仮にAとBはお互いに同じ波長を吸収する性質を持っているとしましょう。
そうすると、Bも光を吸収してしまうため、Aのみの吸光度を測定することができず、Aの量を知ることはできません。
このように、分析する上で混合物の状態では測定したい物質の正確な情報が得られないため、可能な限りほかの物質を排除する必要があります。
そして、より純粋な物質にした状態で分析したほうが、正確な情報が得られます。
③クロマトグラフィーの仕組
クロマトグラフィーは固定相と移動相と呼ばれる物を使用して、試料中の各成分を分離します。
主な流れとしては
- 試料を移動相に乗せて流す
- 試料が固定相に接触すると、成分中の各成分が固定相と相互作用を起こす
- 各成分ごとに固定相との相互作用に差が出るため、結果として成分が分離する。
④クロマトグラフィーの分類
移動相による分類
固定相の扱い方による分類
⑤どうやって分析するのか?
移動相と固定相によって、混合物が分離できることは上記で説明しました。
次にどうやって分離した物質を分析するのか説明します。
②の項で書いたように、物質Aと物質Bの混合物があり、AとBが両方とも同じ波長の光を吸収するとします。
- この混合物を移動相に混ぜた状態で固定相に通します。
- 固定相に対する相互作用がAとBで異なれば、AとBで速度差が発生するので分離することができます。
- 分離した後は分光光度計を使ってそれぞれ分析します
先ほどの例では、AとBの混合物なので、分光光度計のみではAの測定はできませんでした。
しかし、クロマトグラフィーにより分離してしまえば、Aのみの測定が可能となります。
このように、クロマトグラフィーを使った分析機器の構成は、おおざっぱに説明すると
分離装置→検出器
のようになっており、測定したい物質の性質によって検出器を選択します。
例えば紫外線を吸収する物であれば、紫外可視吸光光度計を使用しますし、分子量を知りたい場合は質量分析計を使用します。
場合によっては、紫外可視吸光光度計+質量分析計のように複数の検出器を取り付けることもあります。
⑥まとめ
今回は、クロマトグラフィーの原理と種類を説明しました。
次回から、クロマトグラフィーの種類について少し詳しく書いていきます。
液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどのように、沢山の種類があるように見えますが、クロマトグラフィーの一番の目的は「分離して分析すること」ということを理解してもらえれば大丈夫です。
分離したい物質や目的によって、移動相が気体になったり液体になったりしているだけの違いで、根本的な原理はすべて同じです。
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