こんにちは!
Thinkです。
これまで、環境計量士(濃度関係)(以下環境計量士と略す)の国家試験合格の体験談として、問題の解き方について記事を書いてきました。
試験まで2か月を切りましたが、既に問題集を何回も勉強されているかた、なかなか時間が取れなくて勉強できていないかた、さまざまな方がいらっしゃると思います。
今回は、なかなか時間が取れなくて勉強できていない方のために、これから複数回に分けて機器分析について、ざっくり説明します。
もちろんきっちりと原理から説明するのが一番ですが、すべて書くと辞典のような文字数になってしまうので「詳しい説明は省くが、こうゆう分析できる」のようなざっくりとした感じに説明します。
今回は原子吸光光度計のバックグラウンド補正について概要を説明します。
↓原子吸光光度計については、前回の記事で書いております
ぜひ読んでみてください。
①バッググラウンドとは?
物質は特定の波長の光を吸収する
原子吸光度計でも同様の原理を利用していることはこれまで説明してきた通りです。
基本的に試料に当てた光と透過してきた光を比較して測定する
ということは分光光度計でも原子吸光計でも変わりません。
ですが、それぞれの元素又は分子が異なる波長の光を吸収するわけではありません。
場合によっては、異なる元素や分子でも近い波長の光を吸収することがあります。
また、細かい粒子や測定機器についた傷、場合によっては微生物などにより、光が散乱します。
そのため当てた光が減少し見かけ上吸収したように見えてしまうことがあります。
これがバッググラウンドです。
②バッググラウンド補正とは?
バッググラウンド補正の目的は、上記で書いたような見かけ上の吸収の影響を受けないようにして、測定対象物質の量を正確に量れるようにすることを言います。
バッググラウンド補正には3つの方法があります。
分光光度計の場合は、試料を溶かすときに使用した溶媒を測定したり、測定対象物質と特異的に反応する物を添加して、吸収波長を変えることで共存物質の影響を取り除くことができましたが、原子吸光光度計では試料中の物を原子化してしまうため、これらの方法が取れません。
そのため、上記に示したバッググラウンド補正は分光光度計には適用されません。
③重水素ランプ補正法
④自己吸収補正法
⑤偏光ゼーマン補正法
⑥各補正法の特徴
・重水素ランプ補正法と自己吸収法
→紫外部のみ補正するためグラファイト炉原子化法には不向き(補正波長は190nm~360nm)
・偏光ゼーマン補正法
全波長域を補正するためグラファイト炉原子化法に最適(補正波長は190nm~900nm)
⑦まとめ
バックグラウンド補正について書きましたが、基本的なことは
測定対象物質の吸収+バックグラウンド吸収ーバックグラウンド吸収=測定対象物質の吸収
です。
各補正法の違いを簡単に言ってしまえば、バックグラウンド吸収の測定方法と対象波長が異なるだけです。
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