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環境計量士(濃度) 国家試験 体験談③ ~問題の解き方 環濃編~

こんにちは!

Thinkです。

 

今回は、環境計量士(濃度)(以下環計量士)の受験体験談の第3弾として、難しいとされる環濃の問題の解き方について書いてみました。

今後受験される方の参考にしていただけると幸いです。

なお、この記事で掲載している問題も、体験談②と同様経済産業省のホームページで公開されている昨年の試験(第69回)の試験問題から引用しております。

以下のリンクをご参照ください。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/kakomon/69kanka.pdf

 

 

①必要な知識レベルと問題の傾向は?

必要な知識レベル

環境計量士で出題される化学の問題レベルは、大学受験レベル(高校化学の範囲)だと思います。もちろん大学レベルの問題もありますが、大学受験レベルの化学知識があれば、合格ラインの点数を取ることが可能だと思います。

計算で使用する数学の知識も高校数学レベルですが、こちらは基礎的な知識で十分です。

ただし、環化と違い分析機器の知識とJISの知識が必要になります。

分析機器についても後程記事にしますが、一般社団法人日本分析機器工業会さんのサイトに種類や原理が記載されていますので、参考書を買う前に一度確認したほうがいいと思います。(ただし専門用語が多いため、理解するにはそれなりの化学知識が必要になります)

JISについては、全部の問題がJISから出題されないことと、仮にJISの問題が出題されても化学知識と分析機器の知識があれば、25問中15問は解けるため、そこまで重要ではないです。

www.jaima.or.jp

 

問題の傾向

環化と同様、近年は計算問題の出題数が少なくなり、文章問題が増えています。そのため時間がかかる計算問題を頑張って解くよりも、文章問題を確実に解くほうが点数を稼げます。

 

②試験はどのような流れで解けばいい?

環化と同様、試験はまず文章問題を解き、残った時間で計算問題を解くようにしましょう。

 

③わからない問題が出たときは?

過去問の中で、JISを読んだことがなくても解ける問題をピックアップしてみました。

「JISをちゃんと勉強すればいいじゃん!」と思う方もいらっしゃると思いますが、勉強の時間が取れなかった時の解き方の参考としていただけると幸いです。

(ちなみに私はJISをほとんど読んでいません)

 

問1 「JIS 0102工場排水試験方法に規定されているイオン電極法を用いた塩化物イオンの定量に関する次の記述の中から誤っているものを一つ選べ

 

1 参照電極には、外筒液に硝酸カリウム溶液を用いた二重液絡形の銀-塩化銀電極を用いる。
2 測定容器には、ガラス製のものが使用できる。
3 酢酸塩緩衝液の添加によって、pH約5に調節し、イオン強度を一定にする。
4 この方法では、硫化物イオンなどが妨害する。
5 同じJISに規定されているイオンクロマトグラフ法よりも、低濃度域の定量に適用できる。

1.どの選択肢も正しい記載に見えますが、よく読むと選択肢5だけほかの分析法と比較されています。とっかかりとしてまずこの選択肢が正しいのか考えてみましょう。

2.「同じJISに規定されている」の部分が正しいのかはわかりませんが、問題文に書いてある方法はイオン電極法です、それに対してイオンクロマトグラフ法が比較対象として書いてあります。

3.測定対象溶液には測定対象成分だけでなく、さまざまな物が溶解しています。イオン電極法は、簡単に言ってしまえば測定対象溶液に電極を浸すことで濃度を測定する方法です。イオンクロマトグラフ法....というかクロマトグラフ法というのは測定対象溶液中の測定したい物とそれ以外の物を一旦分離した状態で測定する方法です

4.測定対象溶液をそのまま測定するイオン電極法よりも、一旦分離してから測定するイオンクロマトグラフ法のほうがより測定対象成分を検出しやすくなるため、低濃度域の定量に適用できそうな気がしてきます。

5.したがって、5が誤りの可能性が高くなります。ほかの問題に誤りがあるかもしれませんが、考えてもわからないためもう見ないことにします。

 

問2「濃度1.0×10-7mol/Lの塩酸のpH値として最も近いものを次の中から一つ選べ。ただし、塩酸は完全解離しているものとし、塩酸中のイオンはH+、Cl-、OH-の3種類しか存在しないものとする。また、水のイオン積は1.0×10-14mol2/L2、√5=2.2、log102=0.3とする。」

 

1 6.0
2 6.4
3 6.8
4 7.0
5 7.4

 

これはある意味ひっかけ問題になっています。

pHの定義として、-log(水素イオン濃度)ですので、塩酸の濃度=水素イオン濃度として計算し、-log(1.0×10-7)=7.0と計算してしまいそうになる問題です。(そして狙っているのか、ちゃんと選択肢に7.0が用意されていますね)

1.まず溶液の状態を考えてみましょう。水(pH7)に、少量とは言え酸(塩酸)を溶かしているので、pHが7以上になることはありえません。そのため、選択肢の4と5は正しくないことになります。そのため、正解は1、2、3のどれかになります。これで選択肢が3つに減りました。

2.次に塩酸から発生した水素イオンを考えると、先ほど計算したように7になりますので、溶液は必ず酸性になることを考えると、pHは限りなく7に近いと予想できます。

3.そのため、pH7に近い選択肢3が最も正解の可能性が高いです。計算方法がわからない場合はこのような解き方を考えてみてください。正解する確率は低いですが、可能性が少しでも高い選択肢を選ぶことで、合格に近づくことができます。

 

<補足>

本当は、当然ですが計算により求めます(単位は割愛します)。

流れとしては、塩酸水溶液中の水素イオン濃度を算出し、それに-logを付けたものが正解になります。

1.まず「水素イオンがどこから発生するか?」を考えます。

2.水素イオンは、塩酸と水から発生しています。

3.そして、水溶液中のイオンバランスを考えます。この場合「電気的中性の原理」が成り立ちます。

電気的中性の原理は、「電解質溶液中の全イオン種(この場合はH+、Cl-、OH-の3種類)の濃度は、溶液全体で常に中性になるように保たれているという」です。

つまり正の電荷を帯びたイオンと負の電荷を帯びたイオンの濃度は等しく(=中性)なるということです。そのため、以下の式が成り立ちます。

式1:H+濃度=Cl-濃度+OH-濃度

そして問題文から水のイオン積が与えられていますので

式2:(H+濃度)×(OH-濃度)=1.0×10-14

となります。

ここからH+濃度を算出するために、式1の等式の右辺のOH-濃度とCl-濃度をすべて数値とH+濃度に置き換えてしまいます。

式2より、OH-濃度=1.0×10-14/ H+濃度と変形します。

Cl-濃度は、問題文より塩酸が完全解離しているとのことですので、Cl-濃度=1.0×10-7

となります。

これらを式1に代入すると

式3:H+濃度=1.0×10-7+1.0×10-14/ H+濃度

となります。

長くなるので割愛いたしますが、両辺にH+濃度をかけると2次関数になりますので、これを解きH+濃度を求め、それに-logを付けたものが答えになります。

 

問13「JIS K0095 排ガス試料採取方法に記載されている試料ガス吸引採取方式における、測定成分と使用可能な採取管の材質の組み合わせとして、誤っているものを一つ選べ。

 

  測定成分 採取管の材質
1 シアン化水素 ステンレス鋼
2 アンモニア ステンレス鋼
3 硫黄酸化物 ステンレス鋼
4 ふっ化水素 シリカガラス
5 塩化水素 シリカガラス

この問題は1つの知識があれば解けます。それは「ふっ化水素はガラスを溶かす」ということです。そのため、選択肢4が誤っています。

ほかの選択肢が正しいのかはわかりませんが、4が誤っているのでほかの選択肢は見ないことにします。

 

問14「JIS B 7985排ガス中のメタン自動計測器に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。

 

1 赤外線吸収方式の計測器は、共存する二酸化炭素の影響を無視できる場合、又は影響を除去できる場合に適用する。
2 選択燃焼式水素炎イオン化検出方式の計測器は、共存する非メタン炭化水素の影響を無視できる場合、又は影響を除去できる場合に適用する。
3 赤外線ガス分析計は日本工業規格(JIS)に適合するものを用いる。
4 フーリエ変換形赤外線分析計(FTIR)を用いることができる。
5 選択燃焼式水素炎イオン化検出方式による分析計の燃焼ガスとして、水素を使用することはできない。

選択肢の文章を読んでいくと、変な文章があります。

それは選択肢5です。

「水素炎イオン化検出方式」と書いてあるので、単語から水素を使った炎を使用することが予想できると思います(実際その通りです)。ですがその後ろに「燃焼ガスとして水素を使用することができない」と書いてあります。

炎を発生させるために水素が必要なのに、水素を使用することができない」という矛盾が生じているため、選択肢5が誤りとなります。

 

問20「JIS K 0102 工場排水試験方法に規定されている試料の保存処理に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ」

1 アンモニウムイオン、有機体窒素及び全窒素の試験に用いる試料は、塩酸又は硫酸を加え、pH2~3とし、0℃~10℃の暗所に保存する。
2 亜硝酸イオン及び硝酸イオンの試験に用いる試料は、クロロホルムを加えて0℃~10℃の暗所に保存する。
3 よう化物イオン及び臭化物イオンの試験に用いる試料は、水酸化ナトリウム溶液を加えてpH約10として保存する。
4 銅、亜鉛、鉛、カドミウムマンガン、鉄などの金属元素の試験に用いる試料は、硝酸を加えてpH約1として保存する。
5 シアン化合物及び硫化物イオンの試験に用いる試料は、塩酸を加えてpH約1として保存する。

この問題も、選択肢を読んでいくと変な文章があります。

それは選択肢5です。

何が変かといいますと、「シアン化合物が入っているかもしれない試料に対して、pHを下げているという」ことです。

シアン化合物はシアン(青酸)と何かが反応して結合した物質になります。シアン化合物は水に溶けるとシアン化物イオンになりますが、ここでpHを下げる(水素イオン濃度を増やす)とシアン化物イオンと水素イオンが結合する頻度が多くなり、有害な青酸が発生します。

青酸は青酸ガスとなり揮発しやすくなるため、正確な量が測定できなくなってしまう上に、作業者が青酸ガスを吸引してしまうと、危険です。

そのため、選択肢5は誤りとなります。

 

④JISを勉強すれば問題ないのでは?

もちろんJISを完全に覚えてしまえば問題はないのですが、範囲が広く、一つ一つの文書を読んでいってもなかなか完全に覚えることはできません。

今回、4問を例に問題の解き方を書いてみましたが、JISを完全に覚えていなくても問題文及び選択肢をよく読んで化学的におかしい内容や、文書として矛盾が生じていることを見つけることで解ける問題があることがわかると思います。

 

 

⑤次回

次は今後出題される可能性のある問題に触れてみたいと思います。

特に今年はSI単位系で大きな変更がありましたので、今後出題される可能性が高いです。

どのように内容が変わったのか記事を書きたいと思います。

 

 

長文となりましたが、ここまで読んでいただきましてありがとうございました。

引き続きよろしくお願いいたします。